いつも現場でお疲れ様です。
今日は、これからこの仕事を始める、あるいは始めたばかりの若い職人に向けて、話をさせてください。
最初は、誰にとっても同じ通過点です
道具の扱いに慣れない。現場の流れが読めない。指示の意図がすぐには分からない。
それは甘えではありません。どの業界でも、最初の数年は誰もが通る道です。
医者も、料理人も、職人も同じです。最初から完璧にできる人間はいません。違いが出るのは、その後どう過ごすかです。
うちの現場は、年齢も様々です
うちの会社には、20代の若手から、ベテランまで、幅広い年齢の職人がいます。
仕事のときは、みんな真剣です。手を抜く人間はいません。
でも、現場を離れれば、笑い声が絶えません。冗談を言い合ったり、休憩中に他愛もない話で盛り上がったり。年齢に関係なく、みんなで楽しくやっています。
これは偶然できた空気ではありません。
真剣に仕事をする時間と、楽しむ時間。そのメリハリを、みんなが大切にしているからです。
楽な方には、楽しさが続きません
人間は、放っておくと楽な方に流れます。
それは自然なことです。誰だって、辛いことより楽なことを選びたい。
でも、楽な方を選び続けた先に、本当の楽しさはありません。
ずっと涼しい部屋でじっとしているより、暑い中で汗を流して働いたあとに飲むビールの方が、何十倍もうまい。それは誰もが知っていることです。
同じ娯楽でも、真剣に何かに取り組んだあとのご褒美なのか、ただ楽をしているだけの暇つぶしなのか。その違いで、感じ方はまったく変わります。
厳しい時間があるから、楽しい時間がより楽しく感じられます。
「続けてくれ」ではなく「ここで頑張ると決めたなら」
ここで働くと決めたなら、辛いことや、悩むこと、立ち止まりそうになることが、必ずあります。
それでも、諦めずに続けてほしいのです。
ただ漫然と続けてほしいという話ではありません。
その先に見える景色は、楽をして得られるものとは、比べものにならないということを知ってほしいのです。
1年、3年、5年。それぞれ違う景色があります
1年目に見える景色があります。
道具の名前を覚え、現場の流れが少しずつ分かるようになる。何もできなかった自分が、簡単な作業を任されるようになる。その小さな変化に気づける時期です。
3年目に見える景色があります。
一通りの作業を、自分の判断で進められるようになる。後輩に教える場面も出てくる。「自分にもできることがある」と実感できる時期です。
5年目に見える景色があります。
現場全体を見渡せるようになる。任される仕事の質が変わる。「あの人に頼みたい」と名前で呼ばれ始める時期です。
それぞれの段階で、見える景色はまったく違います。今いる場所からは、その先の景色は見えません。
壁が近いと、壁の大きさしか見えません
難しいと感じているとき、それは目の前の壁が近すぎるからです。
壁に顔をくっつけていれば、壁の表面しか見えません。どれだけ高いのか、どこまで続いているのか、何も分かりません。
でも、少し下がって見れば、壁の全体が見えてきます。意外と低かったり、すぐ横に道があったりします。
技術も同じです。今わからないことは、わからないままではありません。
続けているうちに、いつの間にか分かるようになっています。気づいたときには、あれだけ難しいと思っていたことが、簡単にできるようになっています。
その「気づいたとき」は、自分では予測できません。だからこそ、そこにたどり着くまで、続けることが大切なのです。
成長意欲があれば、必ず景色は変わります
私たちが見ているのは、最初から完璧にできるかどうかではありません。
成長しようとする意欲があるかどうかです。
意欲がある人間は、必ず成長します。早いか遅いかの違いはあっても、必ず前に進みます。
そして、真剣に仕事に向き合った日々の先には、楽な道を選んだ人には決して見えない景色と、誰よりも美味い一杯のビールが待っています。
これからも、一緒に頑張っていきましょう。

